第11章 受験勉強を不完全燃焼で終わらせないために

 

★気持ちが楽になる4つのポイントー焦って難しい問題集からしなくていい

難関大学の過去問題を何度も繰り返し勉強したら、確かに、その問題は自力で解く?

いや、丸暗記した解答を解答用紙に書くことができます。

そしてその後、初めて見る普通レベルの入試問題を解いてみても、

解けない・・・。

これは当たり前。土台が無い場合、難問に挑戦しても、時間をたっぷりかけて考えても答えは出ず、結局最後に解答を丸暗記するだけになってしまうからです。

実力はつかず、時間だけを浪費してしまいます。

 

こんな風に、分からない問題ばかり挑戦して、考えこんでしまう受験生がよくいます。そういう子は、考えているうちに眠たくなったり、テンションが下がったりしてしまいます。

そして、机に座ることさえできなくなってしまいます。

僕も何回もそんな失敗をしていました。

そんな時、僕自身、やる気はかなりありましたが、先生や親からは「やる気がない!」とよくいわれました。

「やる気はこんなにあるのに、なんで成績が上がらないんだ?」

ずっと不思議に思っていました。

迷路をさまようように、ぐるぐると同じ道を何度も行ったり来たりしていました。

今になって考えてみると、【やる気が無かったわけじゃなくて、勉強するところが間違っていただけ】と分かります。

 

僕みたいなことはしないでください。

受験勉強という階段は、小さな段差を1つずつ上がるのが一番楽で、近道です。

まず最初にするのは、中学範囲の文法事項です。高校の範囲は中学の範囲を基礎に成り立っているからです。

「基礎をしっかり」

学校の先生の言葉みたいですが、基礎をしっかり固めるところから、最短距離の勉強が始まります。勉強した量に比例して面白いように成績が上がっていきます。

 

心配しないで下さい。

多くの高校3年生が難しい問題をやりながら、基本がぐらついています。

土台がしっかりしていないところには、絶対に立派な建物は立ちません。

一番の近道は、土台をしっかりと作ることです。

実際に僕の授業では、高2、高3で入ってくる8割の生徒に、中3、もしくは中2の問題集からやってもらいます。

中学生の問題集から始める生徒には、

「今は、中学範囲をやっているけど、焦らなくていいから。これが一番近道だから。」

と最初に説明をします。気休めに言っているのではなく、本当のことです。

生徒が、「周りが難しいテキストをやってるのにおれは・・・。ダメなのかもしれない。」、と勘違いするのを防ぐためです。

また、「中学範囲でもわからないところがあるはず。でも気にしなくていいから」と、常にポイントポイントで声をかけながら、生徒のテンションを下げないようにしていきます。

もちろん嘘を言っておだてているわけではありません。

気にしなくていいところを気にしてテンションを下げてしまい、成績が上がらないサイクルに入ることを、防止するために言っています。

 

K1に出ると考えてください。

まずは、ランニングで足腰を鍛えます。

そして、筋トレで基礎体力をつけます。

それからサンドバックをたたいて、スパーリングをして、実戦の練習をします。

これが正しいトレーニングの順番です。

いきなり実戦練習から入っても、効果はほとんどありません。なにより、怪我をします。

K1の選手には、「頑張れ!おまえなら大丈夫!」と選手のモチベーションをあげながら、効率のよい近道を教えてくれるコーチがいます。

家で勉強するときは、自分がコーチになってください。

そして、僕が授業でしているように、「焦って難しいテキストから始めないように」と自分を指導してください。

 

 

 

 

★気持ちが楽になる4つのポイントー基本から始めて、応用においつかなかったらどうしよう?

 

「基本から勉強して、応用問題に間に合わなかったらどうしよう?」と不安になる生徒がいます。

心配する必要はありません。

本当に大切なのは、難問を正解することではなく、基本問題を確実に正解することです。

 

年度によってバラつきはありますが、名古屋の難関、南山の英米の入試問題でも、

基本事項をしっかり理解していれば解ける標準問題は60~80%ぐらい、

難易度の高い問題は10~15%、

本当に難しい問題はたったの5~10%です。

そして、ここ数年の合格最低得点率は、大体70%。

つまり、南山の英米でも基本事項をしっかりと理解してさえいれば、合格できます。

逆に、難易度の高い問題のみを正解していても合格できません。

だから、本当に難しい5~10%の問題は最初から勉強する必要がないでしょう。

基本を確実に正解する勉強をした方が楽です。

そしていずれにせよ、基本が抜けていては応用問題は解けません。だから、安心して、基本からはじめてください。

 

要約すると、基本問題、標準問題を確実に正解すれば難関校でも合格できる。100点満点はいらない。過去問題でも、正解しなくていいところはある。正解しなくていいところは、最初から勉強する必要はない。ということ。

これを知っているだけでも、勉強が楽になります。

 

★気持ちが楽になる4つのポイントー何回おぼえても忘れてしまう

「何回おぼえても忘れてしまう。」と不安になる生徒がいます。

忘れても全く構いません。

普段使わない知識は絶対に忘れます。

日常生活で、関係代名詞の目的格も不定詞の名詞的用法も使いません。

だから忘れてしまうことは、当たり前です。

でも、何度も言われるうちに定着します。

大切なのは、忘れないようにすることではなく、回数をこなすこと。

嫌にならないように、テンションを下げないように。

5回繰り返した頃には覚えているはず。

分からなくても説明されているうちに、勉強を進めているうちに分かってきます。

そういうものです。

中1では分からなかったことが、中2になるとわかることもあります。

ここだけの話・・・

僕自身、講師になってから、「あ!こういうことか!」と分かったことが結構ありました。

他の先生にきいても、よくあることらしいので安心しましたが・・・。

★気持ちが楽になる4つのポイント分からないところで止まる必要はない

分からないことをじっくり考えこむこと。

これは大切なことでしょうか?

例えばこの問題、

I am       tennis. 【私はテニスが得意だ。】(答はgood at 

この穴埋めを考えている時間は勉強ではありません。

こういう問題は、おぼえるだけで点数がとれます。考え込む必要は一切ありません。

分かりやすいように少々極端な例を上げましたが、受験生がしている勉強で、上の例のような無駄なことは本当に多い。

こういう無駄なことは限りなくゼロにするべきです。

 

この場合、考え込む時に大切なのは、【単純に覚えるところと、じっくり理解すべきところを区別しておく】こと。【むやみやたらに、考えこまない】こと。

勉強の最初の段階では、じっくり考えることは全く意味がありません。

意味が無いどころか百害あって一利なしです。

文法問題では特にそうです。

知らないものを答えることは不可能です。

それをじっくり考えろっていっても無理に決まってます。

とにかく、わからないところで止まっていたらダメ。

 

僕はよく、生徒の手が止まっていたら「考えなくていいよ」と言います。

宿題を渡す時も、「ここまで適当にやっておいで、気が向いたら辞書をひいたらいい」と言います。

最初のうちは生徒も「え?適当?気が向いたら?」と、驚いた反応をします。

僕は別に優しい先生を目指しているわけではありません。

【勉強に乗りきれていないうちに考え込むことは勉強ではなくて、

むしろ時間の無駄、テンションを下げる原因】で、絶対にしてはいけないことなので、そう言うだけです。

勉強に乗りきれていない時に考え込むぐらなら、スポーツをしたり、遊んで気分転換をしているほうが絶対にましです。

大げさに言っているのではありません。

勢いが無くなると、テンポが悪くなり、テンションが下がってしまいます。

研究室で研究をしているわけではないので、考えて考えて、今まで誰も知らなかった解答を導き出す必要などありません。

ただの受験勉強です。

 

実際、僕の授業では、最初のうち、生徒のテンションが上がっていないときは、分からないところは印をつけてから質問をしてもらい、説明したことを頭に入れてもらうだけです。

しばらくはそれを繰り返します。

そして生徒の勢いがついてきて、テンションが上がってきたら、

「この問題は、時間がかかっていいからしっかり考えて」と僕は言います。

しっかり分かるようになってきて、テンションが上がってきたら、

その時に初めて、じっくり難問を考え込めばいいんです。

この時に難問を考え込むことは楽しく感じます。

 

分からない問題で止まってしまうこと以外にも、受験生がよくする、時間を無駄にしてしまう典型的なパターンがあります。

それは、単語力が無いと嘆き、勉強する手が止まること。

文法問題集でも長文でも、知らない単語で止まっていては時間の無駄。

とりあえず、適当に類推しましょう。それも大切な練習です。

どうせ、入試になると知らない単語は必ずでてきます。

知らない単語があるなかで、問題を解く力こそが、難関校ほど求められます。

 

 

★スランプにおちいったら

スランプばかりだった僕に言わせると、

いや、今もスランプばかりの僕です。

この本を書いている今も、スタッフAに怒られまくりです。

「もともとの原本をアレンジするのになんでそんなに進まないんですか?」

締切をもう2ヶ月も過ぎてしまいました・・・。

この本を書くことを僕は一週間放棄した時期がありました。

本のことは全く考えない。全くやらない。

勉強も同じです。

スランプに出くわしたら、勉強のことは全く考えず、全くやらない。

一瞬休むのも一つの手です。

僕の一週間は長すぎるとAは怒りますが。

 

 あー、勉強できなかった。」そう思っても、自分を責める必要はありません。やる気が無いのではなく、やり方が良くなかっただけです。全く勉強しなかった子が、1日10時間以上勉強すようになった例をいくつも見てきました。その子たちは自分をせめたからではなく、正しい反省をして、勉強するようになりました。

 

正しい反省とは・・・

クールに原因を探ること。

落ち込むことではありません。

落ち込んでも得することは何もありません。 

 

「つらいなぁ。」とか「しんどいなぁ。」とかいう時は、脳が働いていません。

そんな時は、効率が悪くなってしまうので、休みましょう。

勉強はできるだけ楽に、楽しくできるときにすればいいんです。

ちなみに、僕は「勉強を楽しく!」っていうフレーズが嫌いです。

100%、遊びと同じように楽しくするのは不可能だし、実力のない予備校、塾の講師がうたい文句にしているからです。

実力のなさをカバーするために言っているようで、少し嘘っぽい気がします。

それでも、厳しい、大変という前提のある受験勉強を、100%楽しくというのは無理でも、できるだけ楽にしてあげるのが僕の仕事です。

だから生徒には、「受験生だから、○○してはいけない。」という言葉を、できるだけ言わないようにしています。

「遊んだらいけないということもない。」と生徒に伝えています。

また、日によって調子は違うので、生徒が走れないときには無理に走らせません。

優しさでしているのではなく、効果が少ないから走らせないだけです。

逆に、今日は走れると判断したら(スイッチが入っていたら)、延々と走らせます。

宿題も、生徒の調子が悪い時は、1ページ、2ページと少なく、場合によってはださないときもあります。受験生であってもです。

逆に、「今のっているからこの子はできるなぁ。」と思ったら、10ページ、20ページだしていきます。

効率的に勉強するために、一直線にゴールにむかって走らせるために、

できるだけよいところ、得意なところをのばしていく、そんな方針でやっています。

 

こういうことを、スランプに陥ったときに思い出してください。

走れない時もあること。休んでもいいこと。落ち込む必要はないこと。スイッチが入っていないときは、誰にでもあること。

知っているだけで、かなり楽になります。

これを知らずに、スイッチが入っていないときに、「周りにおいていかれないように。」と無理をすると、あとで本当に大変になります。

僕自身、スイッチを無視して、大変になってしまったことがありました。

 

★塾講師としての僕のスランプ

何気なく友達の紹介で入った予備校で、初めて先生と呼ばれた時のことを、僕は今でも鮮明に覚えています。

「えっ、おれっ?」って感じで、

後ろから3、4回呼ばれてからやっと、自分が呼ばれていることに気づきました。

楽しいというよりも、毎日毎日、とにかく必死に授業をしていた時です。

それから、1年間の休みは10日以内という生活が神戸で6年ほど続きました。

講師生活が6年目に入った時、本当にしんどくて、体がダルくて動かなくなりました。

今考えてみたら、いろんなプレッシャーとかがあって、精神的に軽いウツ症状にあったんだなと思います。

幸い、授業はなんとかこなして、アンケートのたびにいい評価をもらっていました。

だから周りは僕の不調に気づかず、僕自身も気づきませんでした。

でも、相当深刻な状況だったと思います。

 

そのころの僕は、2年ぐらい、予備校までタクシーで行き帰りをしていました。

生徒はそれを見て、「南野先生は予備校の待遇がいいから、リッチなんだ。」と思っていたみたいです。

でも、実際は、しんどくて、電車では通えなかっただけです。

 

そんなこともあり、この仕事から離れていた時が一時期ありました。

僕は、2004年の春に名古屋に来ましたが、塾、予備校をするために来たわけではありませんでした。

むしろ、塾、予備校の先生だけは2度としないと思っていました。

特別何か嫌なことがあったというわけではなくて、長い間の、先生と呼ばれる職業に対するプレッシャーと疲れがたまってきていたんだと思います。

 

18のときからこの業界に入り、19から本格的に突っ走ってきて、この業界の中での働き方を誰かに教わったわけでもなく、業界の中での友達なんて1人もいませんでした。

そのうえ、業界の慣例からはずれていたり、他の講師にとって不都合な授業料返金制度の導入とかをしようとしたりするから、業界内での誹謗中傷や邪魔も少なくありませんでした。

そういう環境で突っ走っていたのだから、疲れがたまって、動かなくなってしまったのも当然かもしれません。

突っ走りすぎたと、今では反省しています。

 

受験生の1年間は、決して楽しいものではないでしょう。

時間がないと焦るときもあれば、いつまで同じことをしてればいいのかと、疲れてしまうときもあります。

そんなときに頑張りすぎて、僕の講師生活のような息切れをしないでください。

がんばりすぎてしまうことの悪影響を僕は身をもって知りました。

【まじめである、ずっとがんばることができる。】

一見、褒め言葉な気がします。

でも、まじめすぎたり、がんばりすぎたりすると、一気に落ちていってしまうことがあります。

僕は、生徒ががんばりすぎていると思う時、「 がんばりすぎるなよ!」 と言います。

それほど、力をぬくことは大切だと思っています。

必死になりすぎないように。

スランプは誰にでもあります。

そして、スランプの中でも良いことは必ずあります。

僕も、スランプの時でも、生徒や生徒のご父兄、予備校の社長との出会いにはすごく恵まれていたと思います。

生徒や生徒の親が電話や手紙をくれることに一番励まされました。

いまだに、長くつきあいをさせてもらっている人が何人もいます。

そんな恵まれた出会いがあったから、いまだに、適性があるか無いか分からないような僕がこの仕事を続けてこれたんだと思います。

そして、そういう良い出会いがなければ、力の抜き方を知らなかった僕は完全に潰れていたと思います。

名古屋に来ることさえなかった気がします。

 

 

★部活、遊び、息抜きについて

文化祭、体育祭、その後の打ち上げ、たまにしか会えない友達と遊ぶこと、

おおいに楽しめばいいと思います。

受験生にも息抜きは必要です。より効率よく勉強できるように。

息抜きのしすぎには注意が必要ですが・・・。

息抜きと勉強をかねて、たまには、マクドナルドや、スターバックス、またはどこかのカフェで、友達同士で問題を出し合ったりするのも一つの手段です。

友達と単語や社会の暗記をゲーム感覚で競うのは、刺激があるし、気分転換には最高の勉強法です。単語テストをだしあって、負けたらポテトやコーラをおごったり。そんなのもありです。

日本史や世界史はまんがで勉強するのもいいでしょう。シグマベストまんが必修年代暗記法などをつかって勉強することができます。また、音楽をかけて勉強することは基本的にはおすすめしていません。でも、クラシックとか歌詞の無いものなら良いのではないかと思います。勉強には、楽しい気分でするものと、ストレスをためながらするものがあります。

どうせやるなら楽しく気楽に、息抜きをかねた勉強をすればいいと思います。

 

★意外につかえる勉強法

意外だけど、非常に効果的な勉強法があります。

それは、友人、後輩、弟などに教えること。

教える方は教えられる方よりも、もっと賢くなります。

教えることで理解を深めることができるからです。

先生は、教えながら知らない間に自分が勉強しています。

だから、生徒が先生を抜かすということが少ないのでしょう。

教える仕事をしていると、教えることが勉強になることを痛感します。

こんなに簡単で効果的な方法を使わないのはもったいないことです。

試しにやってみてください。

まずは、身近な人に、一つの単元、例えば中学範囲の不定詞から教えてみましょう。

ためしてみれば分かりますが、効果は絶大です。