第4章 受験勉強の本質

 

★努力と根性

せっかく時間を割いて読んでくれる人に申し訳ないので、この紙面には努力、根性などの精神論を書いていません。

ところで、努力という言葉はどのようなことを示すのでしょうか?

一般的に、努力という言葉は、【眉間にしわを寄せて、苦しみながら、何かを一生懸命すること】と考えられています。

僕は、こういう努力は勉強において、間違っていると思っています。

正しい努力とは、

【結果を出せる正しい方法で、嫌々ではなく、淡々と1つの目標に向かうこと】です。

苦しみながら、自分のやり方が正しいと自信を持てないで、1つのことに淡々と打ち込むことなんてできません。

自分がやっていることに効果があることを実感できるから、嫌々ではなく、淡々と1つの目標に向かう、正しい努力ができます。

そして、その正しい努力が結果を出します。

 

あなたもそろそろ気付いていると思いますが(僕も長年勘違いしていました)、

現実には、根性、やる気といった精神論では、残念ながら成績は上がりません。

はっきりと言っておきます。

「根性、やる気があることと成績がいいことには、ほとんど相関関係はありません。」

根性とやる気なら中学生の時の僕でもありました。

でも、勉強ができませんでした。

 

当時の僕と同じように、大半の高校生が、勉強はやる気と根性が大切だと思っています。

でも、本当に成績を上げるのに必要なのは、精神論よりも技術論です。

偏差値が低いのは根性が無く、努力が足りないからではありません。

「努力し続ければ、根性をもっとだせば、いつかは・・・・」

としているうちにどんどん傷口は広くなり、出血はひどくなります。

 

努力ができて根性が報われるのは、正しい技術を知って、ある一定のレベル(大体偏差値55から60)までいった時です。

そして、僕の仕事は、正しい技術を教えて、生徒が正しい努力ができる段階までもっていくこと。

とにかく、偏差値、点数を1点でも上げること。

これに尽きます。

 

だから僕ら塾、予備校講師は「根性が無い、努力が足りない!」という言葉で、生徒の成績が上がらないことをごまかすことはできません。

そもそも、僕らの仕事は、「根性が無い、努力が足りない!」と道徳的な指導をすることでもありません。

だから、うちの生徒に求めることは、自宅での学習時間は何時間か、今の偏差値はどれぐらいか、ということではなくて、最低限の挨拶ができて、最低限の礼儀があることです。

面接テストの時には「成績を上げたい」という熱意とそこをチェックしています。

 

うちの生徒には遊ぶのが好きで、勉強のやる気はあまり・・・という生徒もいます。

でも、その子の成績は全国でもトップクラスです。

隠れて必死に勉強しているわけではありません。

眉間にしわをよせて、嫌々しているわけでもありません。

正しいやり方で、淡々と勉強しているだけです。

 

なんだか努力と根性を否定するような書き方をしてしまいましたが、努力、根性という言葉が嫌いなわけではありません。

むしろ好きな言葉です。

ただ、点数、偏差値という目に見える数字で結果をだすことが仕事である僕が、努力、根性などの抽象的な言葉でごまかすことができないだけです。

ここに書かれている技術に、努力、根性がほんの少しでも加われば最高です!

 

coffee break-早起きと桃鉄

勉強だけでなく何をするにも、努力、根性だけで実行するのは本当に難しいことです。

僕は、この仕事を始めてから、完璧に夜型の生活になってしまっていました。

帰るのが午前2時になるのはあたりまえ。

午前、3時、4時になることも、しょっちゅうありました。

完璧にリズムが狂ってしまいました。

「これはまずい・・・早起きをしなくては・・・。」

そう思い、何度も挑戦してみましたが、

自分を追い詰めても、やる気を出しても、どうしても起きれませんでした。

そして、「気持ちだけではダメかもしれない・・・」と思い、

3年間封印していた、桃鉄のソフトとプレイステーションをクローゼットの奥から出しました。

僕は、桃鉄が本当に好きで、目が回るぐらいしすぎてしまいます。

24時間連続でしたこともありました(笑)。

それで封印していたんです。

でも、【早起きした日は午前中に1時間だけ桃鉄をしていい】

と、条件をつけ、復活させました。

その結果、早起きができるようになりました。

こんなふうに、何をするときも努力、根性だけで挑戦するより、ちょっとした工夫、技術を使ったほうが効果的です!

そして何より自分が楽です。

わざわざ自分が苦しむ道を選ぶ必要はありません。

 

まぁ、僕の場合、「お前は単純すぎ!」と言われてもしょうがないエピソードですが(笑)。

 

★努力と根性より勉強のスイッチが大切―スイッチが入るまで

本当に勉強を楽しめるようになった時、その状況を【スイッチが入った】と僕は呼んでいます。

そしてスイッチを入れるために、僕が授業で一番大切にしているものは、生徒のテンションです。

「入試はテンションが命!」

断言します。

たとえ今の偏差値が高くても、テンションが低いと成績は下がってきます。

逆に、テンションが上がると偏差値は必ず上がります。

 

僕が技術、やり方、解き方を教える。これがアクセル。

テンションはガソリン。

ガソリンを入れてあげるのも、僕の大切な仕事です。

 

だから僕は、生徒が間違っても、

「気にしなくていいからどんどん失敗しなさい。」

「次に正解すればいい。次でだめならその次に正解すればいい。」

「忘れてもいいよ。繰り返しているうちに覚えてくるから、ボチボチやっていこ。」と言います。

本当にそう思っているし、気休めの言葉をかけているわけではありません。

生徒のテンションを下げない方が合理的で近道。

だから、言っているだけです。

 

「また間違えたのか?」 「どうして分からない?」 「なんで勉強しない?」 

そんなこと言われても誰もテンションは上がりません。

また、やる気は、「やる気をだせ!」なんて言われてでるものではありません。

やる気は技術でだすものです。

だから、自分で自分にそういうことを言わないように。

スイッチが入るまでは、少しずつ進んでいくだけで何も問題はありません。

実際に僕の授業でも、スイッチがまだ入ってない生徒にはその時その子が理解しやすいものから教えていきます。

最初から発展的なことは教えません。

スイッチが入っていない生徒は、受験生でも1日の勉強時間が30分ということもあります。

最初はそんな感じで大丈夫です。焦る必要はありません。僕の生徒たちが立証済みです。これは浪人生でも同じです。

 

 

★努力と根性より勉強のスイッチが大切―スイッチが入ったら

 

スイッチが入ったとき、その時が受験勉強を変える転機になります。

「勉強が楽しかった。」

卒業生がよく言う言葉です。

でも僕は、「生徒に勉強や英語の面白さを伝えよう。」なんて、そんなかっこいいことを考えて教えたことは、今まで一度もありません。

「勉強の楽しさを教えてあげたい。」

むしろ、うさんくさい塾のキャッチコピーみたいで嫌です(笑)

まずは、スイッチが入るように技術を教える。

そして、スイッチが入った瞬間を見逃さないように常に注意する。

スイッチが入ったと分かった瞬間、発展的なこと、理解するのに時間がかかることを教える。

それが全てです。

 

タイミングを読んで戦略をたてて勉強をすると、グングン成績はのびます。

それで生徒は「勉強が楽しかった」と言うのです。

ぼくは、「勉強の楽しさを教えてあげたい。」とは考えていませんが、

「勉強が嫌じゃないぐらいにしていこう」とは常に考えています。 

生徒のテンションが下がらないように。

そして、できる限り生徒のテンションが上がるように。

それぐらいテンションは大切です。

でも僕は、塾講師を始めた時、実はこのことを知りませんでした。

だから、講師を始めて4年ぐらいはよく怒っていました。

単語テストが悪かったり、宿題を忘れてくると容赦なく怒り、帰らせていました。

僕も反省しなくてはいけません。生徒のテンションを下げていたと思います。

塾講師、予備校講師の仕事は、入試問題を研究して、わかりやすく教えること。

ここまでは当たり前。

そして授業を通じて、生徒のテンションをどれだけあげられるか。

どれだけ生徒にガソリンを入れてあげて、アクセルを踏ませることができるか。

今僕は、それが勝負だと思っています。

 

 

 

★努力と根性より勉強のスイッチが大切―スイッチを無視して難しい勉強をすると・・・

僕が、ただ理論的に、難しく、生徒のテンションを考えずに説明しても、生徒の成績は上がりません。

例えば中学生に、「能動態の英文を受動態にするには目的語を主語にする」、

 第四文型の英文を受動態にする際には、間接目的語と直接目的語のそれぞれを主語にした受動態の英文を作ることができる」

さらには・・・・

と続けても、分からないですよね?

この説明だと高校3年生も嫌になってしまいます。

説明する僕も嫌になります。受動態が苦手になってしまいそうです・・・。

「わけわからんな!間接なんとかなんて言わなくてもいい、おぼえなくてもいい、図に書いて、少し練習したらすぐわかるやん!」と思ってしまいます。

こういう時は、難しい勉強をするタイミングとテンションが一致していない時です。

勉強のテンションが上がってきてスイッチが入ったら、間接目的語や直接目的語についても勉強したらいいと思います。

そういう時は発展事項もどんどん勉強しましょう。

実際、僕もそういう時には生徒にどんどん難しいことを教えるし、そういう生徒のテンションは特に気をつけてみるようにしています。

「ここだ!」と思ったら、どんどん発展的なことを教えていきます。

細かい注意をしていきます。「彼は、と彼がの違い」とか。

でも、勉強を始めたばかりのときにこんな立派?な説明をされても、生徒は、勉強が嫌になってしまいます。

 

 

僕が授業でしているみたいに、勉強をするタイミングとテンションを見極めてください。

そして、スイッチが入っていないときは無理をしないように。

スイッチが入る前にガソリンがきれてしまいます。

勉強を始めた最初のうちは、

【得意なところをのばすこと】

【苦手なところを克服することを第一としないこと】

【努力はできるだけ楽しく(嫌いじゃないぐらいに)】

この3つが大切です。

 

 

★受験勉強はいつ始めれば良い?

スタートは1日でも、1時間でも、1秒でも早くきることが理想です。

事実、灘中、灘高の生徒たちは、ほとんどが小学生の時から大学入試を意識しています。

東大に100人以上合格するわけです。

 

でも、高3の夏から正しい方法で受験勉強を始められているのは、受験生全体では10%ほど。

多くの受験生は高3の夏でも、スタートを切れていません。

参考書を大量に買って、予備校に行って、自習室で勉強することがスタートではありません。

最後まで、受験勉強をしていると勘違いしたまま、不完全燃焼のまま受験を終わらせてしまう高校3年生がほとんどです。

僕が講師会に来る前、予備校で教えていた時にも多くの生徒が、

「予備校に来ているから受験勉強を始めている」と妙な錯覚?思い違い?をしていました。

本人が「受験勉強を始めたつもり」になっているだけで、

高3の夏でも、本当に受験勉強を始められている子は、非常に少ないのが現実です。

 

一方で、灘校生たちは、中学1年から受験勉強をスタートさせています。

しかも、正しい情報を知っているから正しいやり方で。

だから差がついてしまいます。

 

ここには、本当のスタートをきるための方法を書いていきます。

高3の秋に読んでも大丈夫なように。

 

 

★勉強時間は長いことに意味がある?

勉強時間は長いことに意味がある?

あたり前。時間が短かったら成績が上がるわけがない。

僕も受験生のころはそう思っていました。

でもそれは、勘違いです。

ライブドアの堀江元社長は、(今となっては容疑者になってしまいましたが・・・)

「東大に受かるには何時間勉強したらいい?」という質問に、

「関係無い。2時間以下で早稲田に受かった友人もいる。たとえ30分でもうまく使えば、120分になる。効率、密度が重要。」と話していました。

僕も彼と同じ考えです。(あくまで勉強に関してですよ!)

勉強は、ただひたすら長時間すればいいってものじゃなくて、量よりやり方、効率、そして密度が大切。

また、【今の自分の偏差値を20以上上げるために何をどういうふうに勉強すればいいか】を知ることが必要です。

 

遊ぶ、部活、

成績の上がり下がりには関係ありません。

度が過ぎるのはもちろんまずいけど。

まじめ、不まじめも関係ありません。

一生懸命ノートをとっている生徒の成績が上がるかといえば、正直そんな事もありません。

ひたすら単語だけを覚えても成績は上がりません。

目隠ししたまま手探りで山を登るのと同じです。

これでは遭難してしまいます。

でも、今自分が必要なところだけを勉強する子は、コンパス、地図をもって山に登る子です。

どちらが楽に、そして良い結果を得ることができますか?

あなたもコンパス、地図を持って受験勉強に臨んで下さい。