2023年度聖マリアンナ医科大学の傾向と対策
2023年12月21日目次
聖マリアンナ医科大学について
聖マリアンナ医科大学は神奈川県川崎市に位置する私立医大です。私立医大の中でも比較的狙いやすいとされている医学部で、受験生に人気があります。医学部としての特徴はミッション系の大学であることが挙げられます。ミッション系というのはキリスト教系の教えを教育理念に掲げている大学のことで、ミッション系の医学部は聖マリアンナ医科大学のみです。カリキュラムにもその特徴は表れており、宗教学が必須であったりリベラルアーツに関する講座が開講されていたりと独特なカリキュラムが構成されています。こういった特徴を押さえておくと面接の際の志望動機で印象に残る解答ができるでしょう。
聖マリアンナ医科大学の入試形態
聖マリアンナ医科大学の選抜区分としては学校推薦型選抜(一般公募制、神奈川県地域枠)と一般選抜(前期、後期)の4種類があります。定員は以下の表のようになります。
区分 | 学校推薦型選抜 | 一般選抜 | |||
一般公募制 | 地域枠 | 前期 | 後期 | 合計 | |
人数 | 約25名 | 7名 | 約75名 | 約10名 | 117 |
聖マリアンナ医科大学一般選抜の試験科目・配点
一般選抜の試験科目は英語、数学、理科、面接、小論文となっています。配点は以下の表のようになります。
科目 | 英語 | 理科(2科目) | 数学 | 小論文 | 面接 | 合計 |
配点 | 100 | 200 | 100 | 50 | 50 | 500 |
英語、理科、数学が1次試験で実施され、合格者が小論文、面接の2次試験を受験する形式です。一般的な私大入試の入試方式です。1次試験ではすべての科目が1科目100点となっているため、理系入試ではありますが、私大医学部対策のページにも書きましたが、数学に時間を取られすぎず、英語・理科の対策もしっかりと満遍なく対策をすることが必要です。
合格最低点については公開されている年度と公開されていない年度があり、2021年度は214点、2018年度は209点、2014年度は220.5点となっていました。こちらは1次試験の合格点なので400点満点であり、割合としては60%とれば1次試験を突破できる確率が高いでしょう。
英語
まずは英語の傾向と対策について解説します。試験時間は90分で、大問3問構成となっています。2021年度は数学と英語の試験が通して行われほか、大問4題構成になるなど例年の形式からの変更が見られているので注意です。
大問 | 分野 | 難易度(5段階) |
1 | 長文(適語補充、要約、説明) | 3 |
2 | 長文(空欄補充、文整序) | 3 |
3 | 適文選択(会話) | 2 |
こちらが2023年度の聖マリアンナ医科大学の出題構成になります。この年は長文が2題のみでしたが、3題出題されることもあるので時間配分をその都度変える必要があります。ある程度昔の過去問までさかのぼって演習することをおすすめします。
特徴としては大問1が選択式問題+記述、大問2と3が選択式となっている点が挙げられます。記述問題では単純な和訳だけではなく、要約や説明をする必要があるため慣れが必要です。記述問題は自己採点だとなかなか課題点、得点の仕方を学べないため、学校の先生や個別指導の先生に採点をお願いし、フィードバックを積極的に貰いましょう。講師会本山校でも常々受験生に伝えていますが、模範解答を丸暗記するのでなく、自分の解答を分析し、どこが得点できてどこが失点の原因になったのか学ぶことが受験対策です。
大問3では問題文で状況が説明され、その状況に最もふさわしい会話文を選択します。実践的な英語教育を目標としている聖マリアンナ医科大学の特徴が表れた出題といえるでしょう。会話文表現の暗記は必須と考えてください。
数学
数学も英語と同様、試験時間は90分となっています。大問4題での構成が続いており、大問1~3が答えのみの記述、大問4が記述式の証明問題というパターンでほぼ固定化されています。2023年度の出題構成の表を下に示します。
大問 | 分野 | 難易度(5段階) |
1 | 小問集合(指数関数の最小値、座標平面上を移動する点の速さ) | 2 |
2 | 指数関数、対数関数(会話形式) | 2 |
3 | 放物線の接線の交点、軌跡 | 3 |
4 | 整数の性質(格子点) | 5 |
私大医学部の入試問題としては珍しく、微積分が出題されない年があるのが聖マリアンナ医科大学の特徴です。その代わり、整数の性質や図形と方程式といった分野の出題が目立っています。幅広い分野の学習が必要となります。どの医学部を受験するにも言えることですが、全範囲網羅しておくこと。出題されない年もありますが、微積分はしっかりと仕上げておくことが必須です。
注意点としてはデータと分析が出題されている点です。2023年度には出題されていませんでしたが、2019年度には小問集合の中の1題として平均値と中央値に関する知識を問う問題が、2017年度には箱ひげ図や分散、そしてデータの解釈に関する問題が大問の1つとして出題されていました。データの分析の問題は知識がなければ得点することができないので、要復習です。
全体的に難易度が高い問題で独特な出題形式をとる問題が多く、数学は聖マリアンナ医科大学の一般入試の科目のなかでは特に差がつく科目であると予想されます。比較的簡単な大問1~3を確実に得点し、その上で大問4でどこまで得点できるかが合否をわけるでしょう。逆に、大問1~3を落とすと、合格は難しいでしょう。
物理
理科の試験は2科目が通して行われ、制限時間は150分となっています。大問5題構成が続いているので今年もおそらく変更はないでしょう。
大問 | 分野 | 難易度(5段階) |
1 | 小問集合 | 2 |
2 | 力学(単振動) | 2 |
3 | 電磁気(電磁誘導、コイル) | 3 |
4 | 波動(くさび形干渉) | 3 |
5 | 熱(気体の変化) | 3 |
こちらが2023年度の問題構成となっています。穴埋め形式で答えのみを記入する小問集合と、解答を簡潔に記述する大問2~5という構成になっています。幅広い分野から出題されていますが、良問の風で良問の風を完全マスターしておけば、対応できる標準問題です。基本公式をマスターしたら、良問の風で演習を繰り返しましょう。
出題の特徴としては時間に対して問題量がやや多いことです。難易度は標準的です。そのため、前半の基本的な問題で失点があったり、最後まで取り組みない場合、他の受験生にかなり差が付けられてしまうことが予想されます。また、現象の名前や人物の名前といったように知識問題が小問集合で出題されていることがあります。教科書や参考書を見る際に基本的な知識面を絶対に落とさないことを意識してチェックしておきましょう。
化学
次は化学です。化学は近年出題傾向の変更がみられ、2020年度は大問4題、2022年度、2023年度は大問2題構成となっていました。
大問 | 分野 | 難易度(5段階) |
1 | 熱化学 | 3 |
2 | 高分子化合物 | 2 |
大問1では計算問題が出題されているほか、論述問題が2題出題されていました。いずれも知識のみで解ける問題というよりは問題文の誘導と知識を組み合わせて解く問題となっており、思考力、論述力が求められています。大問2では高分子化合物の出題がありました。こちらでは変則的な出題形式はみられず、難易度も標準的でした。
この年度では出題量、難易度ともに標準的だったのですが、2021年度の大問1ではペプチドの質量分析をテーマとした難易度の高い出題やグラフの作成問題論述問題といったようにとっかかりにくい出題がされるなど、年度によって傾向が異なることが十分に起こりえます。理科の試験が始まったら化学の問題をザっと見て、どのくらいの時間を割くかを予想してもう一方の理科の問題を解くことをおすすめします。
生物
生物はここ数年大問3題の構成で安定しています。標準的な生物の試験といった印象で、知識問題、論述問題がバランスよく出題されています。
大問 | 分野 | 難易度(5段階) |
1 | 生殖と発生(減数分裂、受精) | 2 |
2 | 体内環境(ホルモン、神経) | 3 |
3 | 生体と環境(個体群) | 3 |
各大問で前半は知識問題、後半は論述問題といった形式がみられます。特にクセのない出題形式なので生物が得意な受験生ならばそこまで苦戦はしないでしょう。
出題の傾向としては私大医学部の例に漏れず、体内環境が出題されています。この年度以外にも高頻度で出題されているため、ホルモンや神経、細胞生物の分野は特に重点的に学習しましょう。
一方で大問3では生体と環境分野から出題されていました。他の年度では植物生理などのように医学とは遠い分野からの出題も見られています。ただ、医学とは関係のない分野から出題されるときはそこまで難しい問題は出題されていません。難問対策は体内環境分野の対策を重点的に行いましょう。
面接
面接、小論文が行われる2次試験は1次試験の合格発表の数日後に行われます。2024年度では1次試験の合格発表が2月14日で、2次試験の実施が2月17日か18日だったので事前に面接、小論文対策は行っておきましょう。
面接は個人面接で、受験生1人に対し試験官3人で行われます。医師を志望した理由といったような普通の質問だけでなく、延命治療についての考えや医師に必要なのは腕か心か、などその場で考えて答えなければならない質問もされます。
雰囲気は面接官によって変わるようで、受験生の解答に対してさらに深い質問をしてきたり、圧迫気味の応答をしたりする面接官もいるようです。動揺せず、落ち着いた受け答えができるといいですね。
小論文
小論文は2021年度まで小問3問構成で、課題文の内容の説明を50~100字程度でする問題が2題と自分の意見を300~400文字で論述する問題が1題出題されるという形式が続いていました。しかし2023年度は移植に関するデータと、自殺に関するデータや表が提示され、それぞれのテーマに対して意見を800~1000字で論述するという課題が出題されていました。今後も出題形式が変わることは十分に予想されます。字数に関係なく自分の意見を論述できるよう、普段からニュースなどに対して自身の意見を簡単にまとめるクセを付けておくといいですね。
まとめ
今回は聖マリアンナ医科大学について、傾向と対策について紹介していきました。私立医学部は問題量が多く、それをいかに処理するかが合否を分けます。しかし聖マリアンナ医科大学は問題量こそ普通なものの、特殊な分野や形式での出題が多く、個別対策が必要な大学となっています。裏を返せば対策すればするほど他の併願受験生に対し有利に立つことができるということなので、早めの対策がおすすめです。
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この記事の監修
名古屋講師会 教務部長浅木真理
大学受験指導歴19年、名古屋講師会創業時より医学部受験、難関大学受験のカリキュラム作成を担当。
数多くの生徒を難関大、医学部に合格させてきた講師会で、学習支援をしてきた受験生とその保護者は1000人超。